医工連携や産学連携という取組みはベクトルの違う者同志が手を取り合って創造する場面です。習慣や風土が違うので隔たりは大きいのですが...
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それぞれの立ち位置
バックグラウンドの違いをまず意識しましょう
色んな状況で医工連携という言葉を使います。その一つに医療ニーズを工学的な知識や経験を活かして製品化する場面。
例えば膝の手術後にリハビリの一環として膝関節を補助する機械。医師やリハビリ担当者のニーズを「歩行アシストできる製品」という言葉で表現するとします。
すると工学系の担当者はエアーシリンダーを使って膝を前に出すような製品をイメージしたり、歩かなくても移動できるセグウェイのような製品をイメージするかもしれません。
ところが医療現場の声は実は「伸び縮みするサポーター」程度を望んでいました。しかもリハビリが終わればアシストなしで歩けるようになる製品だったり。
ケアなのか補助なのか代替なのか?アシストという言葉一つでも医療側の考え方と工学系の考え方では随分違ってきます。医療と工学のそれぞれの背景や環境、バックグラウンドをお互いに理解しないと隔たりが大きいまま連携し、停滞し、摩擦が起こります。あげくには、どちらからも「相手は我々をわかってない」と疎遠になってしまいます。
バックグラウンドを理解しようにもお互いに現在までたどり着いた人生の違いがあるのでなかなか難しいのが現実です。
産学連携もしかり。
産業界は上場していれば株主の顔色や資本主義の感覚でスピード感やExit(出口)やvalue(価値)を求めます。一方で「学」のほうは教育や研究価値を見出します。いくつか携わった案件ではスピード感の違いを最も痛感しました。ほとんどの大学には産学連携の支援部門なども設置されていますが知財交渉に重点を置いている大学や間接業務(契約など)に重点を置いている大学など特色は様々でした。しかし、スピードに重点を置いて支援する部門にはまだお会いしたことがありません。大学の支援部門のサイトにも”スピード”を部門の支援価値として表現しているところは見たことがありません。(全てを確認したわけでは無いのでご容赦下さい) もしスピード重視な支援部門を持った大学なら企業もやりやすいと思います。
どんな場面でも相手の状況や背景や過去は自分とは違うもの
何かを創り出したい...その思いはどちらも一緒。だからお互いを補完しあってモノづくりはスタートするはずです。
見ている将来やゴールは同じなのに大概がスムーズに進まない。自分とは違う人生を歩んでいる相手(企業や分野など)と組むわけですから、そもそも隔たりのある状況からのスタートです。誰かが間に入って通訳や調整してくれたらと思ったりしませんか?きっとどちらもそう感じるはずです。だから大学では産学連携などの支援部門ができるわけで、その担当者はどこかの企業で何十年も働いた方々がサポートしていたりしますよね。でも、スピードに重きを置くと、フットワーク軽くどちらの立場も理解しながらいち早くゴールに向かう取組みが必要です。〇〇連携と位置づけられる取組みの時にはお互いの隔たりを認識しお互いの立ち位置を贔屓しない第3者が必要かもしれません。独立性を持った第3者が調整し当事者はそれぞれの役割に邁進する。そんなビジネスが誕生すれば”三方善し”な関係が構築できると思うのですが...
どちらにとっても・・・もうひと工夫があってもいいのでは?
ここまで書いていてふと気づいたのですが、恋愛や結婚に似ているような気がします。そういえば誰かが”共同開発などは結婚のようなもの”と言ってたっけ。どちらかが相手を気に入り付き合い始めるのですが好みや価値観が違って破局。結婚に至るまでにはいくつかの妥協や受容が必要なもの。そりゃぁ血の繋がらないもの同士が結ばれるのですから。
そんな時に共通の知り合いが仲裁に入ってくれたり、価値観が違っても同じ趣味があったから、なんてことで結婚まで至ったり。
どちらにとってももうひと工夫...が必要なんじゃないかしら。
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